理学療法を再考するブログ

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筋力低下を再考する PART3

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おはようございます。

 

前回のPART2では、「筋力低下」は様々な要因で起こり、この言葉は臨床の中で動作を阻害する原因としてあまり正しい使い方ではないのではないか。

怪我などにより筋が損傷すると脳と筋肉との情報伝達にエラーが起こり、運動戦略を変容させることが結果として筋力低下を引き起こしているというお話をしました。

なので、

「受傷後、歩きにくくなったのは筋力低下が原因だ」ではなく、

「受傷後、歩きにくくなったのは運動戦略の異常が起こり、その原因は〇〇だ」となります。

(※〇〇には、筋損傷や筋疲労、筋アライメントの捻じれ、末梢神経障害などその時の要因が入ります。)

 

さて、介入方法についてなのですが、PART2で挙げた筋力低下の要因の中で私が臨床でよく出会うのは筋のマルアライメントです。これは整形疾患だけでなく、術後の廃用症候群脳卒中患者にもよく見られます。

今回はこのマルアライメントに対する介入で効率的な運動戦略の獲得を考えていきます。

私が今勉強している身体内圧理論から言葉を借りると、筋肉は様々な影響を受けて本来の位置から大きくズレてしまった結果引き伸ばされたり、縮こまってしまい本来収縮するべき所で役割を果たせなくなってしまいます。

筋肉に影響する要因として長時間の臥床による同一肢位により重力によって本来の筋走行のラインから筋の質量中心がずれてしまうこともあれば、手術の影響で術創部の方向にずれてしまうなど様々な理由が考えられます。

収縮が正常に行えないという事は前PARTでもいったように脳と筋肉との情報伝達にエラーが起こり、運動戦略の変容が起こってしまいます。

筋肉は適切な位置にあって本来の収縮力が発揮でき、筋紡錘やゴルジ腱器官から情報が過不足なく伝えることが出来るのです。

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< 図1:張力‐長さ曲線 >

 

つまり、アライメントを修正した中で身体を動かせば脳の振る舞いが変わり、非効率的な運動戦略から効率的な運動戦略へと動作の改善を狙えるわけです。

筋のアライメント修正に必要なのはテクニックもありますが、まずは正しい解剖学の知識がないとイメージがしにくく結果に繋がりにくいかもしれません。

何事も基礎が大事ということですね。

 

最後に。

前回のPARTでも筋力低下の要因として何項目か例を羅列しましたが、臨床ではこれを更に深掘りする必要があります。

本当の意味での原因はその人の背景に行きつくのではないかと考えます。

例えば、前回も例に挙げたスポーツ選手が過剰なトレーニングによって過用症候群により筋損傷を引き起こした場合、今まで説明した通り現象として筋力低下が起きます。

もちろん対応としては先にも示した通り身体の休養が必要にはなるのですが、根本的に解決を図るのであれば「何故、この選手は身体が壊れるまでトレーニングに励まなければいけなかったか」を考える必要があるのです。

でないと再発はもちろんの事、そもそも選手が休息を取らずにオーバワークを続け、取り返しのつかない怪我に繋がる可能性もあるわけです。

 

だからこそ我々セラピストは身体への介入だけでなく、コミュニケーションや言葉を大切にするべき職業だと私は思っています。

 

以上を持ちまして、筋力低下に対する考察を終わりとします。

ご拝読ありがとうございました!

 

参考図書

図1:運動機能障害症候群のマネジメント 著 Shirley A.Sahrmann